アンダー・ザ・シルバーレイクにおけるホームレスの位置付け
前に書いたアンダー・ザ・シルバーレイクの感想文でもホームレスと犬の関係について少し触れましたが、改めてしっかり考察しようと思います。
前回書いたものには、
犬=ホームレス
というような考察をしましたが、なぜそうなのか?というところを詰めていきましょう。
アンダー・ザ・シルバーレイクの世界では、主人公サム(アンドリュー・ガーフィールド)の冒険と並行して、「犬殺し」というものが問題となっています。
殺された犬の描写や、「犬殺し」の文字がところどころ映し出されていましたよね。
「悪夢版ラ・ラ・ランド」とも称されていたこの映画。
あの魅惑の街“ハリウッド”には、主人公サムやアンダー・ザ・シルバーレイクの監督(デヴィッド・ロバート・ミッチェル)、ラ・ラ・ランドの監督(デミアン・チャゼル)のように夢を持って、成功してやるぞという野心を持ってやってくる人が多くいます。
だけど、その一方で、あの映画の中でも印象的に映されていたように、ホームレスも多くいるという現実がある。
どういう経緯かは分からないが、夢を抱いてやってきたにも関わらず、いつまでも花を咲かせることができないままでいた。それでもハリウッドという街から離れられず、いつまでもしがみついた結果、ホームレスになってしまった人もいるかと思われます。
あの映画は、いかにも犬とホームレスを結びつけずにはいられないと思わせるシーンがいくつかあります。
・犬がゴミを漁る姿 ホームレスもゴミを漁ることがある
・ホームレスの鼻が効きすぎているところ(ホームレスの王がサムに対し、君は良く匂うから、といって居場所を突き止める)
・ホームレスがコヨーテは神聖な生き物といって崇めていた
・ホームレスがサムを捕え、犬殺しはお前か?と詰め、違うと分かると解放していた
これだけ犬=ホームレスと思わせるような描写がある中、「犬殺し」が問題となっている。
つまり、ハリウッドという街は夢を抱いてやってきた人々をホームレスという犬へと変貌させ、その街でいつまでも夢を叶えられないまま朽ちていく様をまさに「犬殺し」と表現しているのである。
ハリウッドは夢や富や名声に溢れ、魅惑的である一方、夢破れた人々を「殺し」てしまう街でもある、ということを言いたいのである。と思う。
主人公サムに関しては、途中女の子と手繋ぎながら歩いている中、ホームレスに罵倒され、あんなやつらは最悪だねみたいなことを言っていました。ですが、自分も夢を叶えられないままハリウッドにいつまでもしがみつき、家賃も滞納してるし、まさに「ホームレスという名の犬」へと片足を突っ込んでいる状態なのである。
だから、サムからしたら自分もそういう存在に近づいてるけど、そうなるなんてごめんだと目を逸らしたくなる存在なんでしょうね。
だからムキになって嫌いだと罵ったのでしょう。
「夢追い人」って聞こえはいいし、ラ・ラ・ランドなんか観ちゃうと、ミアやセバスチャンは、自分たちの夢を叶え、成功していて、ハリウッドって、夢を追うってなんかいいなとか素敵とか少し思ってしまいますよね。
でも現実に目を向けると、サムのようにいくらハリウッドにいても何も成し得ることができないままでいて、路頭に迷いそうになっている人もたくさんいるということです。
だから、あの映画は「悪夢版ラ・ラ・ランド」だ!って言われていたんでしょうね。
こういったちょっとネガティブというか、現実を突きつけられ辛くなる側面も持ったあの映画は、やっぱり魅力的です。
早くDVD発売されて欲しいですね。
何度でも見たいと思える素晴らしい映画だと思います。
またサムと一緒に冒険や謎解きの楽しさ、ワクワク、ハラハラする気持ちを体感したいものです。