そら飛ぶ映画好きのひとりごと。

感想は抽象的であり、単なる感想に過ぎません。

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スリラー

監督:アニーシュ・チャガンティ

主演:ジョン・チョー

出演:デブラ・メッシング

 

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とても面白く、今までにない撮り方をしている映画でした。

最初から最後まで、2時間近くずっとパソコンや携帯の画面だけでした。

とてもいいアイディアですよね。よく思いついたなぁ。

 

『オン・ザ・ハイウェイ』(トム・ハーディ主演)という映画があるんですが、(これもレビューをブログに載せようかと思っています。)

この映画はずっと主演のトム・ハーディが車の中にいて、その他の出演者は電話越しの声だけ、というとても変わった斬新な映画でしたが、今回の映画もこの『オン・ザ・ハイウェイ』の斬新さに近いものを感じました。

 

ありそうでなかったような発想を思いつく人がたまに現れるんですね。

すばらしい発想力。

あとこの映画は今の時代だからこそ成り立つものですね。

 

 

<あらすじ>

主人公のデイヴィッド(ジョン・チョー)が、連絡がつかなくなった娘マーゴットを見つけ出すために奮闘する話です。

彼が警察に相談したら、お馴染みFacebookInstagramなどから父親自身で娘の対人関係を調べてちょうだいってことになったんで、パスワードを破り娘のアカウントに侵入して、娘の知られざるプライバシーを深掘りしていく話です。

 

 

この映画の面白さは、

 

  • 見ちゃいけないものを見ちゃって人の秘密を覗くこと
  • 素人がSNSという今時のツールを使って対人関係を洗い出し、まるで捜査官のようなことをすること
  • 深掘りし続ければ、色んなことが見えてくる。一見無関係に思えることも実は繋がりがある…!
  • 娘はなぜ消えたのか?その真相を探る、純粋にサスペンスとして
  • タイピング音の心地よさ(笑)

 

でしょうかね!

 

 

ただただパソコン画面だけの映像の2時間弱の映画では面白くない。そこにサスペンスとしての面白さや、親のエゴ、対人・親子関係、SNSが作り出す嘘…だとか色々盛り込まれていて、すごく見応えがありました。

パソコン画面だけと聞いて、飽きてしまったらどうしようか?という不安がありましたが、全然飽きませんでした。2時間もないので元々それ程長い映画ではないですが、先が気になり、あっという間に時間が過ぎました。

 

 

 

 <感想・考察>

ヴィック刑事はデヴィッド自身に娘のSNSのアカウントに侵入して、色々調べて欲しいっていうんですが、そんなことしたら犯人がバレる恐れがあるやんけ。そこのリスクは考えなかったのだろうか?と若干思いました。

警察が捜査したことにして全てを隠蔽すれば、父親は真実に近づくことができなかったのではないだろうか?(そんなことしたらこの映画が破綻しますが)

素人だから気づくわけないし父親のデイヴィッドはすごく熱心に娘を探そうとしているから、どうせ気づきっこないということで調べさせたってことでいいんでしょうか。

そうやって捉えるしかないですね。そういう細かい部分の設定が気になるんですよ。

 

私はこの映画のサスペンスの部分、娘の失踪に関する真相を知るまでは、警察は素人でも気がつくことをいくつも見落としていて、なんか無能じゃないか?この警官って思っていたんですよ。見落としていたのではなく、気づかないふりをしていたわけですが…。

だからヴィック刑事としては真実を隠すためには父親には何もさせないのが吉だったわけで、そこであえてやらせるのは、この映画を成り立たせるためであり、少し都合が良いのでは?って思ってしまうんです。

一緒に捜査していたら大事な部分を見落としまくりの無能警官って思われるか、何かを隠している、という発想につながる恐れがあるのでは?というところまで突き詰めて欲しかった。

この映画の出来がいいからこそ、そういう細かな設定で詰めが甘いかもしれない、と思ってしまうんですよね。

 

見ていて、あれ、なんで父親に調べさせた?って思わせられてしまうのが少し残念に思えるんですよね。

 

出来がいいからこそなんですけどね。

 

もっと違う方法で父親にサーチさせるアイディアはなかったのかなぁ?

真実を隠したいなら調べさせたらダメだから、徹底して「警察が全てやる」って言い張るという設定にすることはどうなんだろう?

その上で父親が勝手にサーチし始めちゃって、警察の調べが甘いぞ!って気がついて父親自身の手でどんどん真実に近づき…っていう感じにしたらよかったんじゃないのー?

 

面白かったからこそこういう細かい部分が気になりますよね〜。

まあしょうがない。

 

 

脚本に関するケチはこの辺にして、やっぱりこの映画の見所はずっとパソコンの画面しか見せないっていう斬新さに加えて、現代人が抱えるSNSというオンライン上であるからこその対人関係の希薄さであったり、親の知らない子供の真実や本質は、鍵のかかったアカウントの中に隠されていて、パスワードを破りさえすればその全てを知ることができるという恐ろしさであったり、そういったところだと思います。

 

私は父親に他人とのメッセージのやり取りとか見られるの耐えられません。(笑)

逆に自分に子供がいたとして、絶対見たくない!でも気になる…。

 

そういう「やっちゃいけないことをするスリル感」が味わえるのは本当に面白かったです。

恋人の携帯だって見たらいかんと思いながら見ちゃう人いっぱいいますもんね。

それで揉めるとか。

 

 

そして、人の本質は今やSNSだとかインターネット上に隠されているっていうのも面白いです。現代だからこそです。

現実に生きている自分は本音を言えないけど、鍵のかかったSNSアカウント上では言える、とか。

ちょっと怖いですよね。人の精神がオンラインに乗り移っている感覚というか。

 

色々考えさせられます。面白かった!