そら飛ぶ映画好きのひとりごと。

感想は抽象的であり、単なる感想に過ぎません。

彼らは生きていた They shall not grow old

公開からだいぶ経ってしまいましたが、ようやく見ました。

非常に良かったです。

 

何より驚いたのが、100年以上前の映像をあそこまでなめらかなカラーの映像へと蘇らせてしまった技術力の高さです。

昔の戦争ドキュメンタリーは大抵動きがカクカクしていて、白黒で、画質が荒く人の表情なんてほぼ見えないようなものですが、「彼らは生きていた」ではまさに生き生きとした映像を見ることができます。

修復も素晴らしいけど、当時戦地で爆撃に見舞われながら映像を撮り残した者も偉大だと思いました。

こうやって残酷極まりない出来事を後世まで伝える手段を残してくれているのはとてもありがたいことだと思います。

 

カメラを向けられたもの達はみんな笑顔なんですよね。それが恐ろしい。

これから死にに行くかもしれないのに、楽観的でいる、というよりその場には戦争という悲惨な出来事に対して現実味がない感じが漂っていました。

そこが恐ろしいです。戦争とは何なのかということを、死にに行き傷ついて帰ってくるまで理解できないのだな、と思いました。

 

戦争映画を見るたびに、「戦争には何の意味もなかった」「戦争は罪である」と感じ、虚しさを覚えます。

戦いたかった人なんてほとんどいなかったはず、人を傷つけ殺したい人なんてそうそういるわけがないはずだったのに起きてしまったことがただただ悲しいです。

 

 

映像が鮮明になったおかげでよりリアリティが増し、「本当に起きていたことなんだ」という実感が強く湧きました。

顔が吹き飛んだ人や足が変な方向に曲がった人など死体がそのまま映されていているのでとても残酷でした。でもこれが実際に起きていたことで、軽い気持ちで戦地に向かった若者達はあんな死に方をしたのです。

それを知ることだけでもとても大事だと思います。

もう起きてしまった過去を変えることはできないから、こんなことがあった、という事実を受け止め、感じることだけでも大切だなと戦争映画を見るたびに思います。

 

戦争映画を見ているとどうしても主人公側の視点で見てしましい、相手側のストーリーや苦悩を感じにくくなってしまうのがいつも心苦しいです。

どの国の兵士だって戦いたくなかったし、泣き叫びながら、苦しみながら続くはずの人生を残して死んでいってしまったのです。

だからいつも戦争映画をみると主人公の敵側の視点も描いて欲しい、と思います。

 

 

戦争について考えると、ああ答えが出ないなと思います。

映像は100年前だとか最近のものしかないけど、人間は昔から戦ってきて殺しあってきてるんですよね。ようやく「戦争反対」思考が芽生えてきたわけですが、最近の戦争以前から残酷なことを繰り返していましたよね。

第一次、第二次世界大戦だけが悪ではなくて、もっと昔から殺し合いは続いていて、今でもテロや紛争が絶え間なく続いていて、人間とは何なのだ?と思ってしまいます・・・。

考え出すときりがないので、受け止めようと心がけますが、いつも辛くなります。

人の欲望や身勝手さを思うととても生きづらくなります。

でも人の行いや心を映画として描く人たちがいてくれると思うと救われるような気持ちになります。

ちゃんと考えている人がいる、とありがたい気持ちになります。

だから映画を見ることをやめられない、と感じました。この先も見ていこうと思います。