そら飛ぶ映画好きのひとりごと。

感想は抽象的であり、単なる感想に過ぎません。

ストーリー・オブ・マイ・ライフ 私の若草物語 Story of my life

良かったです。さすがの出来でした。

コロナウイルスの影響で映画館に行けずの3ヶ月間でしたが、久々の映画館はやはり良かったです。

まだ収束したとは言えない状況なので、映画館に行くべきか非常に悩みましたが、劇場で見ておきたかった作品なので決心して見に行きました。

平日に、かつあまり人が集まりにくそうな場所を選んだのですが、思っていたよりも人が入っていなくすかすかでした。

映画館側からすると悲しいことですが・・・まだこの状況なので、映画鑑賞を趣味とする私からすると少しほっとするといいますか、安心してしまいました。

土日はもう少し混んでいるのかもしれませんがね。

至るところに手の消毒液が置いてあったので、見かけるたびに手に吹きかけていました。

 

さてさて、若草物語、先ほども言いましたが良かったです。

結構長かったので久々の映画館、しかも仕事帰りということで集中力が切れそうになりましたが、見て良かったと思わせてくれました。

 

監督はグレタ・ガーウィグです。レディ・バードで監督デビューを果たした若い女性です。

彼女は、マリッジ・ストーリーの監督の恋人であり、彼の作品のフランシス・ハに出演しています。

二人して作品がアカデミー賞にノミネートしていて、しかも二人とも人の心を描くので、互いに才能がある上、気も合うんだろうな~と思わせられます。

 

シアーシャ・ローナンティモシー・シャラメはまたまたグレタ作品に出ていますね。

若い俳優を主演に使うことがとてもいい。見ていてフレッシュな気持ちにさせてくれますね。

シアーシャ・ローナンは、感情を思い切り表に出し、活発な役柄がよく似合うな、と改めて思いました。

声が可愛らしいけどすごくよく通るし、思いっきり泣いたり笑ったり非常に感性豊かな女優なんだと思います。そういった役を演じているだけとも言えますが、とても演技派の素敵な女優だと思います。

若草物語を見るのだから、彼女が主演のメアリーとエリザベスという映画を(公開時見ていなかったので)見ておいたのですが、なんだか、シアーシャ・ローナンの良さが全然引き出せていないな、とがっかりしたものでした。

映画自体が微妙だった・・のかもしれませんが、ここではあまり言及しないでおきましょう。

 

あの映画は、女性の人生を描いています。

実は若草物語を読んだことがなく・・原作との比較ができないのですが、よく映画の記事などで「この若草物語はグレタ・ガーウィングなりの解釈であり、彼女の人生を描いている」的なものをよく見かけました。つまり、現代を生きる女性が持っている価値観に基づいて作られているお話なのです。

だからこれは共感できるに決まっているし、特に女性は自分の人生と重ねるに決まっているのです。

 

ネタバレになりますが、

この映画は、主人公のシアーシャ・ローナンの過去と現在が行き来していて、最後にこの映画が主人公が映画の中で書いていた小説のストーリーにもなっていた、ということが分かるような構成になっています。

若草物語が描かれている時代、1800年代にはいわゆる結婚することがハッピーエンドとされていて、小説などの書き物はハッピーエンドでないと売れないと思い込まれていたがゆえ、シアーシャ・ローナンは編集長に「主人公が結婚する”ハッピーエンド”にしてくれ」と言われてしまいます。

そして、いわゆるハッピーエンドの映像を我々は見せられるのですが、それまでの物語を見てきた流れでその”ハッピーエンド”を見せられるとものすごい違和感を感じました。

この若草物語は敢えてその違和感を感じさせるような作りになっているのでしょうが、こんなわざとらしいものが幸せなことと思われ、みんなから求められている、とされていることっておかしいでしょ?とグレタさんに言われているような気持ちになりました。

はい、いかにもおかしいです。と大きく頷いておきました。

 

この映画は、実話というよりはお話、「物語」なんですね。ある女性がいて、こんな田舎で家族に囲まれて何気ない日々を過ごしている。自然に囲まれながら生きるということ、生活を営むということを楽しみ、そこから幸せを見出している。何も特別なことはないけれど、「人生を全うしている」。そんなことが描かれています。

人を愛し、生きることを楽しむ。時には苦しみ孤独に押しつぶされそうになる。

でもこれが、まさに人生であり、そして人生に対して何を信じ何を大切にしていくか、生き方は人それぞれだというとを感じさせてくれました。