そら飛ぶ映画好きのひとりごと。

感想は抽象的であり、単なる感想に過ぎません。

ウェイブス WAVES

 

流れるように進んでいく

普通じゃない

音と光の捉え方

 

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すごいものを観た。こんな映画は初めてである。まるでマンチェスター・バイ・ザ・シーのようだが、芸術性が高く、光、音の捉え方が美しい。

前半と後半で大きく映画の様子が変わってくる。

前半は、行き場を失った兄の追い詰められた状態を画面サイズや音楽や激しく動き回るカメラワーク、そして光の点滅などで表現している。

後半は美しい。優しさと愛に溢れている。どうしようもなく追い詰められた状態の中で、気持ちの落とし所をつけ、答えを見出していこうとする。どんなことがあっても、人と人が支え合い前へ進んでいこうとする。

 

とても新しいいことをやっている映画だと思った。こういった手法は今後真似されるかもしれない。アートのような作品でありながら、人の心、家族の関係などについて突き詰められている。

監督はテレンス・マリックの下で働いていたと言う。美しい映像や人の心を撮る監督だ。きっと、テレンス・マリックの影響を強く受けているのだろう。激しい映像の中に、細やかな人の心が描かれていた。

この映画を作った人は、非常に鋭い感性を持っている。

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こちらは私がFilmarksというサイトに書いた感想だ。初めて書いた。(表現が気に食わなかったところは微妙に変えた)

観た映画のメモに使っていて評価などはほとんどつけていないし、感想も書いていなかったが、今回は結構な衝撃を受けたので書いてみた。いいねをしてくれる人がいて、意外と読んでもらえるものなのだな〜 と思った。今後も衝撃的な映画に出会ったら書いてみるかもしれない。

 

ウェイブスの何がすごいと思ったかと言うと、感情表現の仕方だ。カメラの寄り具合とか、音楽や光で表現されている。何よりも強烈だったのが、画面サイズが変わった瞬間だ。今回学んだのだが、アスペクト比と言うらしい。

その比率がほとんど1:1になった瞬間が強烈であった。彼の視野はもうあれだけの範囲になってしまったのだ。その瞬間が恐ろしかった。胸に突き刺さったし、正直驚いてしまった。

 

終始流れるような芸術的な映画だったが、後半に向かっては困難なことにぶつかった時にどうやって気持ちの落とし所を付けるのか、というところが突き詰められていた。そこに感銘を受けた。私が映画の師匠と勝手に思っている方が観る前に教えてくれたのだが、マンチェスター・バイ・ザ・シーのようだと。本当にそう思った。マンチェスター・バイ・ザ・シーをより芸術的にした感じがウェイブスだ。 

単に芸術性の高い、アート映画というわけでない。人の心や人間関係についても突き詰められていた、というのを私は感じた。

 

流れるように映像が切り替わり、話が進んでいくので、その流れに身を任せて観ていくような感じだった。抵抗感や疑問が生まれる隙もなく、どんどんと止まることなく進んでいくのだ。まるで波に飲まれていくような感覚である。まさにウェイブスというタイトルは相応しく思えた。

  

音楽をたくさん使っているが、うるさいとかしつこいという感じはなかった。

盛り上げるために使っているというよりは、その時々の人の感情・心情を表現しているので、常に出演者の様子やその時の空気と合わさっている。そこにあって当然のように音楽が漂っている。それがとても心地よかった。